人口の増加により人口に対し医師が少ない

「日本では医師が不足している」という表現を、一体どのくらい前から耳にしているでしょうか。
待機児童問題では「保育士が不足している」としばしば言われますが、しかし、これは都市部に限ったこと。
日本全国で見れば、待機児童問題は2割から3割の都市部にしかない解決すべき課題です。

しかし、医師不足はそうではありません。
「不足ではなく、偏在だ」と主張する人もいますが、やはり医師が不足している状況が日本全体で常態化していることは間違いないでしょう。

そんな中、神奈川県も同様に、医師不足の問題を抱えています。
医師を確保するためのあらゆる施策を行政が中心となって実施しており、徐々に医師の数も増えてきてはいるものの、未だ医師不足を解消できているとは言い難いのが現状です。

なぜそのようなことが起こるのかといえば、神奈川県においては、人口増加が一つの原因と言えるのではないでしょうか。

近年、居住地としての人気を獲得してきている神奈川県。
住みたい人が増え、実際に移住する人たちが増えれば、人口10万人当たりの医師の数は必然と減っていきます。
人口流入のペースに医師確保のペースが追いつかない状況なのです。

人口10万人当たりの医師数の全国平均は240人ほどですが、神奈川県は200人に届くか届かないか程度。
東京は300人前後ですから、やはり医師の数が不足していることがわかります。

他の府県でも、人口10万人当たりの医師の数が300人を超えているところがいくつかあり、神奈川県は平均よりも少ないわけですから、県内で若い医師を育てることはもちろん、他県から医師を確保することも重要な対策となることは間違い無いでしょう。

若い医師が都市部へ流出している

神奈川県の人口は確実に増えてきてはいるものの、しかし、若い医師に焦点を当ててみると、こうした神奈川県の医療を今後担うことになるであろう人材が都市部へ流出していることも県内の医師不足、また、医療圏格差を生んでいる原因と見られています。

先ほど、神奈川県内での人口10万人当たりの医師数は200人前後であると述べましたが、県内を代表する都市である横浜や川崎といった医療圏では、人口10万人当たりの医師数は神奈川県全体の数とそう違いはありません。
神奈川県自体が全国平均よりも下の数値なので問題がないとは言えないものの、一定数は確保していると考えることもできるでしょう。

ところが、別の医療圏に目を向けると、湘南東部地域においては人口10万人当たりの医師数が160人台、県央地域では同じく130人台、県西地域では同じく160人台と、極端に少ない状況です。
神奈川県内でも、若い医師が都市部である横浜や川崎地域を目指してしまうことで、このような格差が生じていると言えるでしょう。

もちろん、東京都内へと出てしまうことも、神奈川県全体で医師が不足している状況を生み出しています。
医学生に対する経済的サポートもしながらそうした流出を抑えようとはしており、一定の効果も見えてきてはいるのですが、それだけでは間に合わない状況は変わりないようです。